アシュタンガヨガの実践を続けていると、痛みと向き合うことが多々ある。
「ヨガをしてるんだから痛いところなんてないでしょう?」と聞かれることが度々あるが、
痛いところはありますよ。
ただ、全く痛いところがない日やない期間もあれば、痛みが数年間も続く時期もある。
その痛みがアシュタンガヨガの実践で過剰に負荷をかけ過ぎてしまった結果であったり、日常の仕事の疲れだったり、その他のアクティビティの結果だったりする。
ヨガをすれば経験と磨かれた感覚により、痛みへの洞察力と内観力がある程度高まることは確かだが、でもそれはギックリ腰を何度もする人がギックリ腰が起こりそうな感覚をわかるのと似ている気もする。
問題(痛み)に取り組んできた時間が察する能力を高めてくれる。
痛みの感覚は身体の中をグルグルと移動している。
如何なる時でも、人体は全体のバランスを取っている。ホメオスタシスという機能だ。
痛みとは部分的なものでその部分を含めて人体は勝手にバランスを取っている。
そのため、ある部分のバランスが整うことによって、全体のバランスが崩れてしまう。
全体のバランスが崩れることで、痛みは他の部位に移動する。
以前、働いていた接骨院に、両膝の痛みがひどく杖なしでは歩くこともままならない女性の患者さんがいた。
70歳半ばくらいの方で恰幅がよく、運動は全くしてないで毎日をテレビを見ながらゴロゴロ寝てばかりの生活を送っている方だった。
両脚に触れると、大腿二頭筋、大腿四頭筋も臀筋群もパンパンに固まって張っていた。
1週間毎日通院してもらい施術し続けた結果、両脚の張りは緩み、膝の痛みも無くなり、杖をついて歩行するのには困らない程度には回復していった。
ところが、数日してから今度は腰と背中に痛みが生じてきてしまった。
原因としては、今まで自重を支えていたのがカチコチに固まり張ってしまい痛みを訴えてた両脚の前もも、もも裏とお尻の筋肉だっだのだが、
それらが緩んでしまったことにより、身体を支えるために、今まで活動してなかった背面部への負担が大きくなり過ぎてしまったためだ。
ある一部分のバランスが取れることで全体のバランスが崩れてしまった。
自重を支えるための筋肉が背筋、体幹や腹筋には十分にはついてなかったので、全体のバランスを制御するためにそれらの筋肉を目覚めさせる必要がある。
そこで「体幹の筋肉を目覚めさせるために腹筋を1日1,2回からでいいから始めてみましょうか?」と提案したのだが、「そんな運動はしたくはない。施術でなんとかして」と跳ね除けられてしまった。
「いやぁ、無理でしょ。ある程度努力してもらわないと治らないですよ」と伝えたが、自分から運動をしようとはしなかった。
結局、その患者さんの担当をする機会があまり無くなり、その方も次第に接骨院に来なくなってしまった。
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