kizuki会員のプロサーファーの方が「肩甲骨の立甲を実際にサーフィンの動きに落とし込むのに10年かかった」とおっしゃっていた。
(立甲は、人によっては、すでに日常生活の中に溶け込んでしまっているくらい当たり前のように出来る人もいれば、全く出来なく感覚をつかむまでに数ヶ月はかかる人もいる。)
立甲で肩甲骨を動かすことと、実際に自分の目的とする動きのために肩甲骨の動きを活かすことはまた違うということだ。
肩甲骨の立甲には、肩甲骨を動かすことに関する要素が詰まってはいるが全てではない。
肩甲骨は実際には360度動く、らしい。肩甲骨は筋肉とわずかな靭帯に包まれた骨なので浮いてる骨とも言える。そう考えると立甲とは肩甲骨のごく一部分の動きということになる。
立甲が出来てるという現象も人によってその中身は異なってくる。ただ単に肩甲骨周りの柔軟性が高いから出来てしまう人もいれば、ブルースリーの如く前鋸筋をしっかりと使った異次元の立甲をしている人もいる。同じ立甲でも要素が異なる。
なぜ立甲をしたいのか?というと肩の脱力のため、腕に頼りたくないからだ。
肩の力を抜くというのは、アシュタンガヨガに限らずジャンル問わずで野球にしろ、ゴルフにしろ、テニス…さまざまな競技での終わりのない課題であることには違いない。
肩甲骨の立甲が出来たとしても肩の脱力になるとは限らない。めちゃくちゃに三角筋や上腕を硬めたままでも出来る。けれど、立甲が出来た方が肩や上腕、前腕への力の負担が減ることには違いない。
立甲が意図的にしろ無自覚にしろ出来る人の方が肩周りの筋肉である三角筋が薄くて上腕が細く、肩甲骨まわりや広背筋などの肩甲骨下側以降の筋肉が発達している傾向がある。
逆に立甲が苦手な人は、三角筋が厚くて上腕が太く、僧帽筋上部の発達が強い傾向がある。
日常の動作や所作にも「肩が上がる」や「肩が浮く」、「脇があまい」といった言葉が当てはまる動きが起こりやすい。肩こりや偏頭痛も起こりやすい。
アシュタンガでいえば、立甲はバンダ系統や体幹と呼ばれる部分との繋がりを結びつけやすくなるので出来た方がいいとは思っている。
しかし、実際に肩甲骨の立甲をアシュタンガヨガに活かすというのは別問題なのかなと最近考える。
実際は解剖学とは違う。アシュタンガヨガの場合は経験と感覚、そして呼吸の要素が大きい。
アシュタンガヨガやサーフィンを全体と見なせば、立甲や解剖学はそのための部分でしかない。
部分を見過ぎて全体を見忘れることもあるが、部分の組み合わせが全体にも繋がる。
コメント