アシュタンガヨガをはじめて2年くらい経過した頃、インド・ゴアのアルジュナにあるパタビ・ジョイス師からサーティファイドを受けたロルフ&マーシーのシャラを訪れた。
その時、アイアンガーヨガの専門家の奥さんのマーシーに「あなたはチャトランガが出来ていない。ウディヤナバンダが抜けている」と指摘されて、滞在中の3ヶ月間のほとんどがチャトランガの練習となった。
途中、ロルフから「これをやってたら曲がってる背骨が伸びて、そのうち首の後ろに脚がかかるようになるよ」と言われ、スプタクルマアーサナの練習法を授かったりもしたけれど(実際に脚が首の後ろにかかり始めるまでは、その時から5年はかかったと思う)、大体がチャトランガの練習だった。
シャラを去る時にも、マーシーに「トシ、あなたはひたすらチャトランガの練習をしなさい。そうしたらあなたのアーサナはすごく変わるわよ」と言われた。
その頃はアドバイスを受けても、言われていることの意味や指摘されていることの意図が何がなんだかわからなく、10年くらいの時間が経った今だからこそ振り返ってみるとその通りだと共感しかないが、当時は全くわからなかった。
「せっかくゴアまで来たんだから、こんな地味なことじゃなくて、オレも周りの人みたいにポーズの練習して、ポーズを進めたい」と思い、フラストレーションを溜めながら渋々仕方なしに練習していた。
ヴィンヤサのプランクからチャトランガに移行している最中に、マーシーが「Here!! Now!!」と力強い声を発しながら、握り拳を僕のへそ周りに当てて、チャトランガをひたすら繰り返すという指導を…わかる人にはわかるマーシー流の過激かつ情熱的な指導を受けた。
同じ時期にシャラで共に練習をしていた現・徳島のドニ君からは「トシ君がマーシーから腹パンをくらってるようにしか見えなかった」と言われた。
旦那のロルフは「ああなったマーシーは私には止められない」と言っていたらしい。
何が何だかわからないまま、「なんでこんなことやらなくちゃいけないんだろう」と思いながらもチャトランガの練習は続いた。
しばらくして、チャトランガの出来具合は微妙なまま、ヴィンヤサの練習も加わり、ジャンプバック、プランク、チャトランガ、アップドック、ダウンドック、ジャンプスルーの練習をひたすらやらされた。その頃はジャンプバック&スルーで身体が持ち上がってフローするなど夢のまた夢で、その兆しが全く見られない状態だった。
マーシーの「Here!! Now!! Inhale more!!」と力強い声と共に彼女の腹パン(?)をひたすら受け続ける時間を過ごした。
季節が雨季に入り、ゴアのシーズンが終わり、シャラの閑散期になった。通常なら練習生が100人ほどいるシャラだけれど、2週間ほど練習生はドニ君と僕の2人だけとなった。
そのため、ロルフはドニ君の練習を主に見て、マーシーは僕の練習を見るという、かなりの贅沢な時間過ごしていたのだが、やらされていることが地味過ぎて、その意味や意図も理解できない程度の当時の自分にはかなりきつかった。
「オレもドニ君みたいにポーズを進めたいよ!こんなことばっかりやりたくない」と思っていた記憶がある。
わけがわからないまま、「こんちくしょう!」と思いながら、ジャンプバック、プランク、チャトランガ、アップドック、ジャンプスルーをひたすら練習する時間だった。
ダウンドックに関しても、ロルフとマーシーとドニ君から「トシのはダウンドックになってない」と指摘され、ポーズの修正と矯正を受ける日々で、その指摘された言葉の意味に理解という感覚が芽生えるのはそれから1,2年の時間が経過した後だった。
そんなある日、いつものように「Inhale more!! Push strong!!」と真剣そのもののマーシーの声を浴び、腹に握り拳を受け、言われるがまま、頭の血管がブチ切れるくらい全身全霊で目一杯に鼻から呼吸を吸い込み、それと同時に腹を引っ込めて両手でマットを押した瞬間、突然身体がフワッと浮いて持ち上がり、クロスして抱え込んだ両脚が両手の間を抜けて、腰が頭よりも高く上がり、チャトランガ・ポジションに入っていった。
突然の出来事に呆然としながら、マーシーの方を振り返ってみると、彼女がにっこりと優しく微笑みながら僕を見つめてくれていた。
Thank you, Rolf🙏🙏🙏
Thank you, Marci😊
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